長内厚 おさないあつし
経歴
11972年、東京都生まれ。
1997年、京都大学経済学部経済学科卒業後、ソニー株式会社入社。
ソニーにて10年間、商品企画、技術企画などに従事。
商品戦略担当事業本部長付を経て京都大学大学院に業務留学。
博士号(経済学)取得後、神戸大学経済経営研究所准教授、ソニー株式会社外部アドバイザーなどを経て2011年より早稲田大学准教授。
2016年に現職。ハーバード大学客員研究員や国内外の企業の顧問も務める。
2023年より総務省情報通信審議会専門委員。ニュース、情報バラエティなどテレビ出演多数。
フジテレビ「Live News α」レギュラー出演。ダイヤモンドオンライン、講談社「with」連載中。
2024年4月に新刊「半導体逆転戦略 日本復活に必要な経営を問う」(日本経済新聞出版社)が発売。
YouTubeチャンネル「長内の部屋」でも積極的に発信を行っている。
<視点>
企業内部のビジネスパーソンや、消費者という、より身近な視点を入り口にしながら、グローバルマーケットまで話を展開。
暮らしや仕事に近い視点でわかりやすく経営や経済、政治を語る。
<強み>
超現場主義。国内外を問わず、豊富な現場取材を元に、足で稼いだリアルな今を伝えることができる。
学術的な理論構成を持ちながら、現場から吸収した知識、知恵、経験を元に問題点の解決策を具体的に提案。
主な講演テーマ
アフターコロナの日本の企業戦略~経営とモノづくりの現場から~
世の中の変化には過去の延長線上に将来が予測できる漸進的な変化と、過去との連続性のない非連続な変化があり、後者が不確実性の高い社会といいます。コロナ禍はまさに日本や世界の経済や社会に複雑性をもたらしました。このように不確実な世の中では何があたり何がはずれるかの予測がつきません。将来の事業計画を立てるときに過去のデータを一生懸命分析しろというマネジャーはたくさんいますが、不確実性の高い世界では過去のデータの延長線上には未来はなく、これまでとは異なる意思決定や戦略の立て方が必要になります。つまり、なにがあたるか分からない世の中では、一つの戦略を後生大事に遂行するより、数打っていくつか当たれば良い、当たりの数を増やしたければ、数多く撃てば良い、という考え方のほうが正しいのかもしれません。不確実性にそなえるランダムな戦略を実行するためには、柔軟で多様性に富んだ組織が向いています。これからの不確実な世の中でランダム戦略を実行できる組織の特徴や要件を明らかにします。 ×
日本のものづくりの品質と価値
日本の製造業は品質が高く時に過剰品質とも言われるが、同時に昨今では品質不正などのトラブルも続いている。一見すると相反する事象のようであるが、根本の問題は共通している。技術をみがくだけで価値創造ができていた20世紀のものづくりから、激しい国際競争のなかで技術だけでは価値残れない現状に直面し、価値獲得につながらない品質向上競争によって現場が疲弊している。企業が研究開発活動を通じて価値獲得、すなわち収益化を果たすためにはなにが必要なのか、製品価値の本質を解説する。 ×
効果と効率の経営戦略と経営学から見たダイバーシティマネジメント
効果の追求と効率の追求は一見同じように見えて正反対の活動である。効果の追求とは多様性の追求であり、緩やかな組織(有機的組織)による緩やかなマネジメントが求められる。反対に、効率の追求とはムダを排除するプロセスであり多様性は阻害される。こうしたプロセスは厳格な組織(機械的組織)によって運営される。事業がどのような状況に面しているかによって効果と効率を使い分けることが優れたマネジメントには求められる。また、効果的マネジメントに必要な多様性の議論をダイバーシティマネジメントという観点で議論し、社会的正義ではなく、経済的なメリットとしてのダイバーシティのあり方を提言する。 ×
日本と台湾の協業にみる日本の国際分業
日本と台湾は近しい文化を持っているがビジネスのスタイルは正反対であり、だからこそ相互補完的な協力関係か成り立つ。さまざまな日台アライアンスの事例から日本企業の優位性と不足している能力を浮き彫りにして、国際的なオープンイノベーションが進む競争環境の中で日本企業が生き残るための方策を考える。 ×
ビヨンド5G時代の展望~世界を見据えた企業戦略を~
過去の携帯電話規格の標準化は日本の技術によって達成されたが、技術者だけが標準化に参加されており、ビジネス戦略に結びつかなかった。また次世代技術の開発には現在のビジネスの成功による投資原資も必要である。中国は独自のネットワークを構築し、自動運転や遠隔医療の分野で競争力を高めるため、過去の資産を捨ててでも5Gの最適化を図ろうとしている。5Gのケーススタディをも元に、大局観を持った企業戦略の必要性を説く。 ×
日本のものづくりとDXの本質
日本企業グローバル市場への再チャレンジ
書籍・メディア出演
書籍紹介
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半導体逆転戦略 日本復活に必要な経営を問う
【内容紹介】
日本の半導体産業はなぜ凋落し、その復権には何が必要なのか。本書は、米国の対中半導体輸出規制はなにを止めたかったのか、中国はどのようにして7ナノチップをつくったのかを明らかにし、ラピダスよりもJASMが日本の転機となるかもしれないなどの大胆な分析も行う半導体産業復活のための経営戦略指南書。日本の半導体産業が抱える課題を、日本企業が陥りやすい技術論ではなく、ビジネスとしての成功を目指す経営学的な見地から解き明かしていく。
技術信仰に縛られた日本企業、技術で勝ってビジネスで負けてきた歴史、数を追わないことの問題点を明らかにすることで反省すべきポイントも指摘。韓国、台湾になぜ逆転を許したのかについても的確に分析する。米中貿易摩擦で漁夫の利を取る、安心という日本の価値づくり、中国を敵に回しすぎないなどの日本企業が知りたい対応も示す。
【目次】
第1章 ファーウェイ7ナノショック
1 SMICによる7ナノプロセスの生産
2 そもそも半導体とは
3 なぜ半導体で計算ができるのか
4 米国の対中半導体輸出規制はなにを止めたかったのか
5 中国はどのようにして7ナノチップをつくったのか
第2章 ラピダスよりもJASMが日本の転機となるかもしれない訳
1 ラピダスに対する疑問
2 日本の半導体産業の凋落
3 韓国と台湾の半導体産業事情
4 日本の半導体企業の問題点
5 ラピダスへの疑問と不安
第3章 日の丸半導体の復権をかけたTSMCの誘致
1 熊本にできるJASMへの期待
2 最先端よりも最多需要の獲得を追う
3 ビジネス視線で支援に乗り出す政府の意識変革
4 ソニー、アップル、TSMCの三角関係
5 十時ソニーのイメージセンサーにかける決断
6 台湾のエレクトロニクス産業とTSMC
7 ハイテク産業の育成に果たしたITRIの役割
8 モーリス・チャン氏によるファブレス&ファウンドリーの推進
第4章 技術だけ強い日本の戦略的課題
1 技術信仰に縛られた日本企業
2 ビジネスとして同一スペックのものが長期に必要
3 半導体以外で事業に育てられなかった技術
4 成熟期のイノベーションに必要なもの
5 いまこそ松下幸之助氏の水道哲学を思い出すべき時
第5章 日本の半導体産業の歴史
1 技術で勝ってビジネスで負ける
2 日本がアメリカに勝った半導体製造技術
3 欧州のEV対トヨタ自動車の全方位戦略
4 1980年代に訪れた日本の成功体験
5 半導体の外販ビジネス
6 デジタルの波が日本企業を呑み込む
7 メモリ市場をめぐる日米の攻防と経済摩擦
8 装置産業がニッチ市場で生き残れるか
第6章 数を追わないことの問題点
1 フラッシュメモリ―安価な半導体を大量にの発想
2 顧客は技術ではなく製品を買う
3 性能が良い方がいいに決まっているの嘘
4 オープンイノベーションの意味
5 顧客の使い勝手を考えれば標準化
6 技術流出かオープンイノベーションか
第7章 日米半導体摩擦を静かに見守っていた韓国の戦略
1 日米半導体摩擦を参考にした韓国の立ち回り方
2 新興国市場に狙いをつけた韓国の戦略
3 連続投資で大量販売モデルを確立した韓国
4 繰り返される日本の失敗
5 対韓輸出規制強化で見られた日本の強み
第8章 台湾が世界一に上り詰められた深刻な理由
1 国連脱退で後ろ盾を失う台湾
2 国連脱退後の台湾と日米の関係
3 国策となった半導体事業
4 開発と製造の分離―ファブレス&ファウンドリーモデル
5 台湾のモデルが半導体の国際的な分業を生む
第9章 米中貿易摩擦で漁夫の利を取れるのは誰か
1 チップ4による中国の囲い込み戦略
2 米国の思惑に乗じて日本半導体産業の再起の目は
3 チップ4メンバーそれぞれの事情
4 韓国との関係強化の必要性
5 日本と台湾との蜜月はいつまで続くのか
6 日本と台湾の協力が一層深まるチャンス
第10章 安心という日本の価値づくり
1 ビヨンド2ナノのラピダスの問題点
2 使用に関する安心感という日本の価値創造
3 大量生産という台湾と韓国の価値獲得
4 注目される後工程の協業
第11章 中国を敵に回しすぎないこと
1 中国との関係を排除することは危険
2 地政学的に見ても台湾がベストパートナー
第12章 半導体産業に必要なのは経営戦略
1 戦略の基本に立ち返る
2 ラピダスとJASMの戦略的優位を考える
3 後工程の強みは日本の半導体戦略の中心になるのか
4 日本のビジネスの力が試される時
イノベーション・マネジメント
「イノベーション」とはどのようなもので,
企業経営にどのような役割を果たすのかを
解説する入門テキスト!
歴史,源泉,発生・普及,組織,戦略,
新製品開発,製品アーキテクチャ,サービス,
知財管理,価値創造などのテーマごとに整理・解説し,
経営に果たす役割を多角的に解説していきます。
目次
第1章 イントロダクション
第2章 イノベーションの歴史
第3章 イノベーションの源泉
第4章 イノベーションの発生・普及
第5章 イノベーションのダイナミクス
第6章 イノベーションと組織
第7章 イノベーションと経営戦略
第8章 イノベーションと新製品開発
第9章 イノベーションと製品アーキテクチャ
第10章 オープン・イノベーション
第11章 サービス・イノベーション
第12章 イノベーションと知財管理
第13章 価値創造
読まずにわかる!『経営学』イラスト講義
本誌は、経営学の先生が全編講義形式で教えてくれる、「誌上ビジネススクール本」です。 ビジネススクールで教わる経営学の基礎がわかります。
一番の特長は、多忙で時間のないビジネスパーソンに嬉しい作りになっているところ。
全14回分の誌上講義につき、自身の興味や都合に応じて受講スケジュールを立て、無理なく学べます。
各講義の要点がまとまった板書や、ポイントを押さえたイラストや図解でわかりやすく「読まずに」するっと理解できます。
習熟度がわかる振り返りテストつき。
台湾エレクトロニクス産業のものづくり~台湾ハイテク産業の組織的特徴から考える日本の針路
台湾エレクトロニクス産業の発展の歴史を踏まえた上で、日台企業の提携などを検討。
ひところの勢いを失った日本エレクトロニクス産業へのヒントを探る。
台湾のエレクトロニクス産業に関心を持つ研究者の、学術的、史料的観点から高い水準の論考を集めた。
アフターマーケット戦略~コモディティ化を防ぐコマツのソリューション・ビジネス
不況にあえぐ日本の製造業が多いなかで,なぜコマツはめざましい成果をあげるのか。本書は,コマツの事例を中心に「アフターマーケット」という,製品を販売した後のサービス・ビジネスを分析。その秘密に迫る!
- ・新刊・「半導体逆転戦略 日本復活に必要な経営を問う」(日本経済新聞出版社)2024年4月3日発売予定
- 「イノベーション・マネジメント」(中央経済社/共著)
- 「読まずにわかる!『経営学』イラスト講義」(宝島社)
- 「台湾エレクトロニクス産業のものづくり~台湾ハイテク産業の組織的特徴から考える日本の針路」(白桃書房/共著)
- 「アフターマーケット戦略~コモディティ化を防ぐコマツのソリューション・ビジネス」(白桃書房/共著)
連載・執筆活動
- ダイヤモンドオンライン「長内厚のエレキの深層
- 講談社「with」まんがでマネジメント
テレビ
- NHK「クローズアップ現代+」
- NHK BS1 「国際報道」
- 日本テレビ「NEWS ZERO」
- 日本テレビ「真相報道バンキシャ!」
- 読売テレビ「あさパラS」「情報ライブ ミヤネ屋」
- 読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」
- TBS「ひるおび!」
- TBS「あさチャン!」
- テレビ朝日「グッド!モーニング」
- テレビ朝日「報道ステーション」
- テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」
- BSテレ東 「日経プラス10サタデー」
- BSテレ東 「日経FTサタデー9」
- TOKYO MX「田村淳の訊きたい放題!」
- 他多数
ラジオ
- TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」
- J-WAVE 「JAM THE WORLD」
- J-WAVE 「STEP ONE」
- TOKYO FM「Blue Ocean」
- TOKYO FM「馬渕・渡辺の#ビジトピ」
- 文化放送「村上信五くんと経済クン」
- 他多数